読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

銀河へまだ走りたい 第0話

 ロケットは飛んでいた。三人のおっさんをのせて。ロケットの名前はブラジルモンスター。黄色と緑色の配色がかわいらしいおもちゃのようなロケットである。ブラモンと略して呼ばれることが多い。

 名前をつける際に未来世紀ブラジルという映画から借りたという説がある。しかしそれは間違いで、実際にはとあるゲームに登場する電気を出す怪物と、とある電気を出す怪物が出るゲームからとったのだ。しかし真実はあまり語られることがない。この世界が嘘でできている以上仕方がない。この世界では嘘を嘘と見抜くことが難しくなった。

 ブラモンの中にはたくさんの部屋がある。ガチャガチャで出てきそうな見た目の割にブラモンは大きい。計画者はたくさんの部屋の中からあえて狭い一室を選んだ。その一室の様子をカメラが常時撮影している。その映像はとある生放送のサイトで全宇宙に放送されている。三年半くらい前から。

 そう。今から三年半くらい前。2013年5月28日。地球の全てが一瞬にして変わった。その現象はインパクトと呼ばれている。

 インパクトにより世界は改変され、未来と過去が入り交じり、人々は混乱した。何が起こったのか。それがどうして起こったのか。三年半経った今でも詳細はわかっていない。

 インパクトは起こった。それだけははっきりしている。偶然ながらインパクトが起こった日に、とある生放送サイトで放送が始まった。まだ名前のないトークバラエティ番組の放送中にインパクトは起こったのだ。

 放送は回線のトラブルに見舞われながらも、インパクトが起こったあとも続けられた。インパクトが起こったことにまだ誰も気付いていなかったのだ。今思えば貴重な瞬間をカメラは捉えていた。アーカイブとしてサイトに映像は残っている。

 インパクトのあと、番組名は「銀河へまだ走りたい」に決まった。番組中に画面上を流れるコメントを拾って、そのタイトルは選ばれた。今思えばインパクトがなければその番組名も変わっていたかもしれない。

 番組の第0回は一人の犠牲により無事に終わったが、しばらくして世界改変が報道され、世界は混乱した。

 どんなに混乱しても生活は続く。人類は適応して、インパクトが起こった世界でも大半は生きようとした。その大半の中に三人が含まれたのは、本当に喜ばしいことだと筆者は思っている。おかげで私や大勢のリスナーは改変された世界や宇宙の様々な情景を旅配信の中で見ることができる。そしてその移動中の三人の生活を今はなきあのスタジオと似た狭い部屋で見ることができる。

 

 次回予告。三人とは誰のことなのか計画者とは誰なのかそのあたりのことを第1話では書いていく。